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INVESTMENT GUIDE

進出・投資ガイド

ネパールへの外国投資について、実務上まず確認が必要な事項を整理しました。社内でご共有いただける形を意識しています。

AT A GLANCE

制度の要点

  • NPR 2,000万

    外国投資の最低投資額

    約15万米ドル。2019年に定められた5,000万ルピーから、2022/23年度予算で引き下げられました。IT・輸出志向企業には現行下限が適用されません。

    出典:ネパール財務省/各法律事務所解説2022/23年度予算以降

  • 100%

    認められる外資出資比率

    FITTA 2019(外国投資技術移転法 2075)により、ネガティブリスト対象分野を除き全額出資が可能です。

    出典:FITTA 2075(2019)2019年施行

  • 25%

    標準法人税率

    銀行・金融・保険は30%、製造業および一部BOOTインフラ事業は20%。

    出典:ネパール内国歳入庁現行

  • 5%

    配当送金時の源泉徴収税

    FITTA第8条により、税引後利益・出資金・株式売却益の本国送金に制限はありません。送金される配当には5%の源泉徴収が課されます。

    出典:FITTA 2075 第8条現行

  • NPR 20億

    投資庁(IBN)所管となる投資規模

    外国投資で20億ルピー超の案件はIBNが所管します。それ以下の案件は産業局(DoI)が窓口となります。多くの日系中堅・中小企業案件はDoIルートです。

    出典:Investment Board Nepal投資委員会法 2068(2011)

  • 3〜6週間

    外国投資法人の設立期間(目安)

    ネパール資本のみの非公開会社は7〜15営業日程度。外国投資の場合はFITTA承認とネパール中央銀行(NRB)登録が加わり、分野や書類の準備状況により2〜3か月に及ぶこともあります。確約ではなく目安としてご覧ください。

    出典:実務解説各種2026年8月時点

LEGAL FRAMEWORK

根拠となる法令と窓口

外国投資の基本法は、外国投資技術移転法(FITTA 2075/2019年)です。ネガティブリスト対象分野を除き、外資100%の出資が認められています。利益・出資金・株式売却益の本国送金は同法第8条で認められています。

窓口は投資規模で分かれます。外国投資で20億ルピーを超える案件は投資庁(Investment Board Nepal, IBN)の所管です。それ以下の案件は産業局(Department of Industry, DoI)が窓口となります。多くの日系中堅・中小企業の案件はDoIルートに該当します。この区別を最初に確認しておくと、その後の段取りが変わります。

会社登記は会社登記所(Office of Company Registrar, OCR)、外国投資の送金・登録に関してはネパール中央銀行(Nepal Rastra Bank, NRB)が関わります。

RESTRICTED SECTORS

ネガティブリストの中身

FITTAは、同法の別表(ネガティブリスト)に掲げられた分野を除き、外資100%の出資を認めています。検討の最初に確認すべきはこの別表です。ここで結論が出てしまう場合があります。

外資の出資が認められない分野

  • 第一次産業としての農畜産:養鶏、養魚、養蜂、果樹、野菜、油糧種子・豆類種子、酪農
  • 家内工業および小規模産業
  • 個人向けサービス業(理美容、仕立て、自動車教習など)
  • 不動産取引業(建設業そのものは対象外)、小売業、国内宅配、地域向けケータリング、両替・送金業
  • 旅行代理店、トレッキング代理店、観光・トレッキングのガイド業、ホームステイを含む農村観光
  • マスメディア(新聞、ラジオ、テレビ、オンラインニュース)および国語による映画製作
  • 語学・音楽・コンピュータの各種教室
  • 武器・弾薬・火薬類、および核・生物・化学関連物質の製造

出資比率に上限がある分野

  • コンサルティング業(経営、会計、エンジニアリング、法務):外資出資比率51%まで
  • ライドシェア:外資出資比率70%まで
  • 航空運送事業:事業区分ごとに出資比率の上限が設定されています

見落とされやすい点が二つあります。第一に、この制限は出資(エクイティ)に対するものです。融資による投資、および現地資本とともに設立した会社への技術移転は、別の扱いになります。第二に、この別表は2019年以降に複数回改正されています。参照すべきは、申請時点で効力を有する版です。

実務上、日本企業からのご相談は多くの場合どちらかに分かれます。想定されている事業が明らかにリストの外にあり、以後この論点が出てこない場合。もう一方は、コンサルティング、小売、観光関連など、制限のかかる線の近くにあり、上限を前提としたストラクチャーを最初から設計する必要がある場合です。これを申請段階で気づくと、やり直しの費用が大きくなります。

PROCESS

手続の流れ

実際の順序と、それぞれで必要になる主な準備です。所要期間は分野と書類の準備状況によって変わります。
  1. 01

    事業分野の確認

    ネガティブリストに該当しないこと、必要な業種別許認可の有無を確認します。

  2. 02

    投資額と出資構成の確定

    最低投資額の要件、出資比率、資金の送金経路を設計します。IT・輸出志向企業は最低額の適用外です。

  3. 03

    外国投資の承認取得

    この手続は必須で、会社登記の前に完了させる必要があります。2023年以降、多くの案件は産業局のオンライン自動承認ルートを通り、おおむね7営業日以内に承認書がメールで交付されます。自動承認の対象外となる案件は個別審査です。いずれの場合も、事業計画書、投資家に関する書類、資金の出所を示す書類、取締役会決議、定款案を準備します。

  4. 04

    会社登記(OCR)

    商号予約、定款・附属定款の提出、登記完了。ネパール資本のみの会社であれば7〜15営業日程度ですが、外国投資では前段の承認が前提です。

  5. 05

    税務登録・PAN取得

    内国歳入庁での登録を行います。

  6. 06

    NRB登録と資本送金

    外国投資の登録を行い、資本を正規経路で送金します。この記録が将来の送金の前提になります。

  7. 07

    銀行口座・オフィス・ビザ

    法人口座の開設、事業所の確保、駐在員のビザ手続を進めます。

  8. 08

    操業開始と継続対応

    会計・税務、労務、各種更新手続が継続的に発生します。

TALENT

国内経済が吸収しきれない規模の技術者層

ネパールの人材を検討する理由は、人件費ではありません。毎年育成される有資格技術者の数が、国内経済が用意できる仕事の量を上回っていること。そしてその余剰が、日本企業がいま不足させている分野にそのまま重なっていることです。

最も層が厚いのは土木・構造分野です。道路、橋梁、トンネル、水力発電の事業が数十年にわたって継続しており、その相当部分が日本の監理下で実施されてきました。ナグドゥンガ・トンネルだけでも、ネパール人技術者と作業員が約7年間、日本の仕様による現場に従事しています。日本の図面規約と品質管理のもとで実務経験を積んだ人材が、研修生としてではなく自国の現場で育っているという点が重要です。

伸びが速いのはソフトウェア・IT分野です。2022年のIT/ITES輸出額は5.15億米ドル、前年比+64.2%。106社が約14,700名を雇用し、これとは別に約51,800名のフリーランスが海外顧客と直接取引しています。カトマンズには日本企業が自社で運営する開発拠点が複数あり、社内で日本語教育まで行っている例もあります。機械、電気、農学、医療系の各分野が、規模は小さいながら同じ性質でこれに続きます。

意外に思われるのが言語です。日本の高等教育機関で学ぶネパール人留学生は10万人を超え、在留ネパール人は27万3千人を超えています。その結果、日本語能力試験N2・N1を持ち、さらに実務的には報連相や納期の感覚といった日本の職場の動き方を理解している技術者が、継続的に帰国しています。

この人材層を活用する方法は二つあり、適用される制度が異なります。ネパール国内で雇用する場合(自社法人または開発拠点を通じた雇用)は、ネパールの労働法制のもとで完結し、日本の在留資格は関係しません。日本に招へいする場合は在留資格が必要です。学位を有する技術者については「技術・人文知識・国際業務」が該当し、これは特定産業分野の指定を受けません。特定技能は指定された分野が対象で、対象分野は拡大が続いており、直近では2026年1月の閣議決定で追加されています。技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から育成就労制度へ移行します。育成就労から特定技能1号への移行には、技能試験と日本語能力(A2相当)の両方が要件となる見込みです。またネパール側では、2025年7月以降、特定技能での採用にあたり在日ネパール大使館での求人票認証が求められており、実務上は政府認定の送り出し機関を経由する形が現実的です。

在留資格制度は改正が続いています。掲載内容は2026年8月時点の理解に基づくものです。採用計画の確定前に、出入国在留管理庁および厚生労働省の最新情報をご確認ください。

FAQ

よくあるご質問

本サイトの情報は一般的な参考情報であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。制度は改正されることがあります。実際のご判断の前に、必ず最新の一次情報および専門家の確認をお願いいたします。

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